遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト「腫れ・腹痛ナビ」
知っておきたい「医療費助成制度」

指定難病における
医療費助成制度

指定
難病
制度
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難病
指定難病における医療費助成制度の概要をご紹介します。
公費負担の助成対象として国が指定している難病を「指定難病」といいます。
現在、348種類ありますが、遺伝性血管性浮腫(HAE)は「原発性免疫不全症候群」に含まれます。
※2025年4月現在の情報をもとに作成しています。

認定を受けられるのはどんな場合?

指定難病における医療費助成の認定条件には以下の2つがあります。これら2つの条件のいずれかに該当する場合、「一般」という区分で認定され、認定者には受診時に提示する「医療受給者証」が交付されます。

支給認定の条件

指定難病と診断され、
(1)症状の程度が一定以上である
    または
(2)医療費の総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある(軽症者の特例)

遺伝性血管性浮腫(HAE)の場合は、(1)「中等症以上」または(2)医療費の総額が月額33,330円を超える月が年間3回以上ある(軽症者の特例)のいずれかに該当する場合に認定されます。

遺伝性血管性浮腫(HAE)を含む原発性免疫不全症候群の場合は、表1の重症度分類のうち、「中等症以上」が条件となります。
また、「中等症以上」ではない軽症の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんであっても、「医療費の総額が月額33,330円を超える月が年間3回以上ある」というときには特例として認定され、医療費助成の対象となります。例えば、加入している健康保険の自己負担割合が3割の場合、自己負担額の合計が1万円以上になった月が年間3回以上ある場合が該当します。これを「軽症高額該当」といいます。

表1 原発性免疫不全症候群の重症度分類
重 症治療で、「補充療法(阻害薬等の代替治療薬の投与を含む。)、G-CSF療法、除鉄剤の投与、抗凝固療法、ステロイド薬の投与、免疫抑制薬の投与、抗腫瘍薬の投与、再発予防法、感染症予防療法、造血幹細胞移植、腹膜透析、血液透析」のうち、1つ以上を継続的に実施する(断続的な場合も含めて概ね6ヵ月以上)場合。→認定対象
中等症上記治療が継続的には必要でない場合。
軽 症上記治療が不要な場合。

認定を受けると医療費負担はどうなる?

指定難病における患者負担割合は2割が上限

健康保険を使って医療を受けた場合、患者さんはかかった総医療費の3割を窓口負担することになっています。これに対し、指定難病における患者負担の割合は2割が上限とされており、負担の軽減が図られています。ただし、健康保険における負担割合がもともと1割または2割の人は、その割合が指定難病の医療にも適用されます。
※小学校入学前の子どもは2割、70〜74歳は原則2割、75歳以上は原則1割。

ひと月の自己負担は上限額の範囲内で

指定難病における患者負担には、負担割合の上限(2割)とは別に、世帯の所得に応じた月あたりの上限額が定められています(表2)。この上限月額を超える金額を負担することはありません。ただし、入院時の食事代は全額が自己負担となります。
2割負担か上限月額のどちらか低いほうが患者さんの負担となります。

高額な治療が長期間続く場合はさらに負担を軽減

さらに、「一般」として認定を受けたあと、高額な医療が長期にわたって継続し、「指定難病に係る医療費の総額が月額50,000円を超える月が年間6回以上」になると、「高額かつ長期(高額難病治療継続者)」という認定区分への変更を申請することができます(階層区分が一般所得以上の方に限ります)。「高額かつ長期」として認定されると、世帯の所得によっては、より低い自己負担上限月額が適用され、さらなる負担軽減が可能になる場合があります。

指定難病・
自己負担シミュレーター
指定
難病
こちらはひと月の自己負担の上限の「めやす」を推定するものです。
計算結果は印刷できます。
詳しくはお住まいの都道府県の窓口
(保険福祉担当課や保健所など)でご確認ください。
  • 難病指定の条件を満たしていますか※1
    ※1「中等症・重症」の場合、または「軽症」でも医療費の総額が月額33,330円を超える月が年間3回以上ある場合
  • 生活保護を受けていますか
  • 人工呼吸器等の装着がありますか
  • 市町村民税 課税※2

    ※2 患者さんが国民健康保険(国保)・国保組合に加入している場合は、患者さんを含む同じ国保(国保組合)に加入している方全員分の課税を合算する必要があります。それ以外の健康保険では被保険者のみの課税額となります。詳しくは窓口でご確認ください

  • 市町村民税 課税なし
  • 市町村民税 課税あり

あなたの自己負担額の1ヵ月の上限は
円です
表2 自己負担上限月額
表2 自己負担上限月額

※「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)

難病情報センターホームページ(2025年6月6日閲覧)から引用改変
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

助成対象となる医療の範囲

医療費助成の対象となるのは、都道府県が指定する「指定医療機関」で指定難病の治療等を受けた場合にかかった保険診療の費用です。指定医療機関以外で治療を受けた場合や、指定難病以外の病気やケガの治療でかかった医療費、保険外の治療の費用等は助成の対象となりませんので、ご注意ください。
「指定医療機関」とは、都道府県から難病法に基づく指定を受けた病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション等のことです。つまり、病院や診療所での診察・治療費だけでなく、薬局で調剤されたお薬代、訪問看護や訪問リハビリ等の費用も対象となります。

※「指定医療機関」については、都道府県の申請窓口へお問い合わせください。

自己負担は月ごとに合算できる

指定難病の医療費の自己負担は、外来・入院の区別なく、複数の指定医療機関の負担額をまとめて月ごとに合算し、上限月額が適用されます。ひと月の自己負担の累積額が上限月額に達した時点で、月内にそれ以上の費用を徴収されることはありません。

手続き
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指定難病における医療費助成の支給認定を受けるための
手続きについてご紹介します。

申請から認定までの手順

申請手続きの手順は原則として以下のとおりです。
申請が受理されてから医療受給者証が交付されるまでには、2〜3ヵ月程度かかります。

図 手続きの流れ
図 手続きの流れ

申請に必要なもの

申請に必要な主な書類は以下のとおりです。患者さんによってはこれ以外の書類が必要となる場合があります。また、都道府県によって必要書類が異なることもありますので、くわしくは都道府県の申請窓口(保健所等)やホームページでご確認ください。

  • 申請書[特定医療費(指定難病)支給認定申請書]
  • 難病指定医による診断書(臨床調査個人票)
  • 健康保険証の写し
  • 世帯の所得状況を確認できる書類[市町村民税(非)課税証明書等]
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 医療保険の所得区分の確認書類(同意書)
  • マイナンバー(個人番号)を確認できる書類と身元確認のための書類

認定の有効期間は原則1年以内

認定には有効期間があります。原則として申請日から1年以内で、都道府県が定める期間です。それ以降も継続する場合は、1年ごとに更新する必要があります。更新手続きは有効期間が切れる前に行います。

押さえておきたい!申請手続きに関する留意点

  • 「軽症者の特例(軽症高額該当)」として認定を受ける場合や、認定区分の「一般」から「高額かつ長期(高額難病治療継続者)」への変更手続きには、かかった医療費を確認する書類が必要となります。
    遺伝性血管性浮腫(HAE)で受診した際の領収証は、捨てずにとっておくとよいでしょう。
  • 制度の運用や申請に必要な書類等、都道府県によって取り扱いが異なる場合もあります。
    くわしくはお住まいの都道府県の申請窓口へお問い合わせください。
窓口
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難病
指定難病における医療費助成の支給認定を受けるための
窓口についてご紹介します。

支給認定を受けるには?

医療費助成の支給認定を受けるには、患者さん(またはその保護者)による申請が必要になります。申請先は都道府県等ですが、実際の窓口はお住まいの地域を所管する健康福祉センター、保健所等です。