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遺伝性血管性浮腫(HAE)について

HAEの遺伝

監修:福岡市民病院 院長 堀内 孝彦先生

HAEの遺伝

病名が示すように、遺伝性血管性浮腫(HAE)は遺伝する病気です。

遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんでは、遺伝子の異常が主な原因で、C1インヒビターの量が少なかったり、働きが弱かったりします。
このC1インヒビターの遺伝子の異常は、50%の確率で親から子に遺伝します。
このため、ご自身が患者さんの場合、ご両親のどちらかが遺伝性血管性浮腫(HAE)の可能性が高くなります。
また、お子さんが2人いれば、1人は病気が遺伝している可能性が高くなります(図1)。

一方、ご家族に患者さんがいなくても、生まれた後に何らかの原因で遺伝子の変異が起こって、遺伝性血管性浮腫(HAE)になることもあります。
このような患者さんは孤発例と呼ばれます。
孤発例の患者さんでも50%の確率で遺伝子の異常がお子さんに遺伝します。

図1 遺伝性血管性浮腫(HAE)が子どもに伝わるしくみ
図1 遺伝性血管性浮腫(HAE)が子どもに伝わるしくみ

A:C1インヒビターに関する遺伝子(遺伝子異常)がのっている染色体
a:C1インヒビターに関する遺伝子(正常)がのっている染色体

遺伝子は染色体の上にあります。人間には対になった染色体が23対46本あって、子どもは父親と母親から23種類の染色体をそれぞれ1本ずつもらって、23対46本の染色体を持つことになります。
子は親から染色体の上にある遺伝子ももらうため、遺伝子に異常がある場合に、それも親から子に受け継がれます。
C1インヒビターに関する遺伝子に異常があると50%の確率で親から子に遺伝し、C1インヒビターに関する遺伝子にいずれか一方にでも異常がある場合、遺伝性血管性浮腫(HAE)となります。

遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんの家系図をご覧ください(図2)。
もしご自身が患者さんの場合、ご家族・ご親戚のなかに患者さんがいる可能性があります。
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、早い段階で正しい診断を受けて、発作に対して適切な治療を受けることができれば、学校や会社に通ったり、家事をしたりと、ふつうの日常生活を送ることができる病気だといわれています。

また、遺伝性血管性浮腫(HAE)であることがわかれば、まだ症状が出ていない方でも将来の発作に備えることができ、誤った治療を受けることも減るかもしれません。
検査を受ける必要があるか迷っている方、ご心配・ご不安に思っている方は、かかりつけの医師に相談してみましょう。
⇒くわしくは、 遺伝カウンセリングとは
⇒くわしくは、 ファミリーテストについて

図2 遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんの家系図
図2 遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんの家系図