遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト「腫れ・腹痛ナビ」
遺伝性血管性浮腫(HAE)について

HAEの原因

監修:福岡市民病院 院長 堀内 孝彦先生

HAEは遺伝子の変化でおこります

遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんのほとんどは、生まれつきC1インヒビターというタンパク質の量が少なかったり、働きが弱かったりすることが知られています。

からだの中で働く色々なタンパク質は、それぞれの遺伝子が持っている情報に従って作られます。したがって、遺伝子が持っている情報が少なかったり、間違っていたりすると、うまくタンパク質が作られません。患者さんは、遺伝子の変化が主な原因で、C1インヒビターが少なかったり、働きが弱かったりします。

むくみや痛みの直接的な原因はブラジキニン

C1インヒビターが不足したり働きが弱かったりすると、なぜ遺伝性血管性浮腫(HAE)の症状があらわれるのでしょうか?

C1インヒビターは、血液中に存在してさまざまな機能を担っています。そのうちのひとつが、「ブラジキニン」の量が増えすぎないようにすることです。「ブラジキニン」は血圧の調節や炎症にかかわっていて、受容体(ブラジキニン受容体)にくっつくと、むくみや強い痛みを引き起こします。健康なヒトでは「ブラジキニン」が増えすぎないよう、C1インヒビターがブレーキをかけています。しかし、HAE患者さんではC1インヒビターが少なかったり、うまく働かなかったりするので「ブラジキニン」が増えやすい状態になっています。具体的には、「抜歯」「手術」「ストレス」「疲れがたまる」などの刺激により「ブラジキニン」が増え、ブラジキニン受容体にどんどんブラジキニンがくっつき、激しい腫れやむくみ、腹痛が起こると考えられています。

正常な状態から腫れやむくみが起こるとき、次のような経過をたどります。

左右のスワイプで、表をスクロールできます
腫れやむくみが起こるときの経過
3分で分かるHAE発作のメカニズム

HAEのタイプ

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、Ⅰ〜Ⅲ型の3つのタイプ(病型)に分類されます。
ほとんどの患者さんはⅠ型またはⅡ型です。Ⅲ型はごく少数と考えられています。

Ⅰ型

遺伝子の変化によって、C1インヒビターの作られる量が少ないタイプ。

Ⅱ型

遺伝子の変化によって、C1インヒビターの働きが弱いタイプ(作られる量は正常)。

Ⅲ型(HAE with normal C1 Inhibitor)

原因がくわしくはわかっていない、珍しいタイプ。C1インヒビターは量、働きともに正常。

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